YAMATO Tsunagari Project
agnès b. Interview
きものでエキサイティングな世の中をつくる
そんな私たち<株式会社やまと>の「ビジョン」を叶える取り組みのひとつ、<YAMATO Tsunagari Project>。
YAMATO Tsunagari Projectとは、産地と私たちのつながりを生かし、つながりのある人やブランドとともにつくった新たなプロダクトで、きものと世の中との新たなつながりを生み出していくプロジェクトです。
その一環として、新たにパリのファッションブランド<アニエスベー>と共に、きものと帯、そしてアニエスベーの定番アイテムであるコンビネゾンをつくりました。
コラボレーションのテーマは“a touch of Paris”。フランスと日本で長年にわたって服を作り続けるお互いのクリエイションへのリスペクトから誕生したこのコラボレーション。きものと帯にはパリのテイストを取り入れ、コンビネゾンにはきものの生地を使用しています。
今回は、このコラボレーションへの想いをブランドの創始者であるアニエスべーご本人(以下敬称略)に伺いました。
Q1.今回のやまととのコラボレーションはどのようなきっかけで始まったのでしょうか?
今回のコラボレーションは、私たち日本チームからの問い合わせに応じてくださった矢嶋さんの素敵なお誘いでスタートしました。もちろん、私は喜んでお受けしましたよ。
Q2.これまでもブランドのコレクションには“キモノスタイル”と呼ばれるスタイリングが登場していますが、きものの魅力とは何なのでしょう?
確かに、私はいつも日本のきものに魅了されてきました。きものの美しいラインには、受け継がれた豊かな恵み、優雅さ、そして控えめさが含まれていて、私はそんなところが大好きです。きものを愛することは、日本とその伝統に敬意を表する方法でもあります。もしかしたら、今回のテーマにも繋がっているのかもしれないですね。
Q3.今回のコンセプト「a touch of Paris」は、矢嶋(弊社代表取締役社長)へ送って頂いた手紙に書かれていたフレーズです。では、アニエスべーが思う“パリらしさ”とは?
長い間、特にヴェルサイユ宮殿のできた17世紀より、パリは世界に眩い輝きを灯してきました。そこで育まれたエレガンスの伝統は今日にも続きます。例えば、自転車に乗っている若いパリの女の子たちさえ、美しくエレガントなシンプルさを持っていますよね。
Q4.今回きものはブランドオリジナルの生地で作りましたね。たくさんの生地の中から、どのようなポイントでこの生地を選んだのでしょうか?
今回選んだアニエスベーの象徴的な小さなドットは私が大好きな柄です。昔からこのシンプルでエレガントなパターンで、ドレスからメンズシャツまで多くのデザインをしております。このオリジナル生地できものを仕立てるためのサンプル作りなどの過程で、私たちチームはやまとの感性に度々共感し、とても充実した協業ができたと感じています。
Q5.きものに合わせる帯にはご本人が撮影された写真が転写プリントされています。 ブランドのコレクションでは、写真を転写プリントした服がアイコニックなアイテムとして展開されていますね。伝統にも造詣の深いアニエスべーですが、転写プリントについてはどのようにお考えですか?
私は写真を撮ることが大好きなので、この素晴らしい転写プリントの技術のおかげで、ありがたいことにかれこれ10年以上写真を使った服への転写プリントやオリジナルプリント柄の生地を作り続けています。今回のコラボレーションでも転写プリントの技術を用いて、日本が「日出ずる国」であることに改めて着目し、朝日の写真を素材に選びました。
Q6.ちなみに、この写真はどのようなシーンで撮影なさったのでしょうか?
この写真を撮った時はおそらく休日のことだったと思いますが…とにかく私は写真が大好きで四六時中撮っています。私の家や庭、路上で、そして夜中だったり、アーティストの友達と撮影したり、そんな大好きな瞬間から生まれた1枚ですね。
Q7.ここまできものと帯についてお話頂きましたが、きもの生地のコンビネゾンもつくりましたよね。日本のきものの生地には、どんな魅力を感じますか?
そもそも、私がきものに惹きつけられたきっかけは映画でした。
かねてより、小津安二郎監督の「秋刀魚の味」(1962年)や黒澤明監督の「生きる」(1952年)「どですかでん」(1970年)のような日本映画や、フランス映画ではジャン=ピエール・メルヴィル監督の「サムライ」(1967年)のイメージなどに魅了されてきたことが、私がきものの生地に感じる魅力の基礎となっているのでしょうね。
Q8.ブランドのものづくりの原点にも、フランスの伝統的な仕事や職人技を守りたいという気持ちがあると伺いました。アニエスベーはこれからのフランスの未来をどう描いていきたいですか?
私たちの伝統や技術が未来へ続き、教育を通してフランスが培ってきたノウハウが継承されることを心から願っています。かつて、金沢の卯辰山工芸工房のワークショップに訪れた時に学生さんたちが取り組んでいた、陶芸・ガラス工芸・鋳物・彫金・漆芸、それから染色や織物の分野の技術には本当に驚かされました。日本の伝統継承には感心させられます。私はそんな未来がフランスだけでなく、全ての国に訪れる明るい未来を望んでいます。
Q9.私たちやまとは、きものを通して「人々の前向きな気持ちを大きくする」というミッションを掲げています。 最後に、今後日本のきものがどんな世界と繋がったら素敵だと思いますか?
日本のきものは過去を現在につないでくれます。
かつて私がギフトでいただいた昔ながらの美しいきものもそうでした。シンプルな黒のきもので、東京から京都までのルートが描かれたデザインでした。二つの意味で、それは地図でした。私にとって、とても詩的な存在ですね。
私たちの「時代をつないでいく」という想いが、ジャンルを超えて重なり生まれた今回のコラボレーション。そんな“つながり”という大切な偶然が、日本にとっても世界にとってもちょっとした“刺激”となることを願っています。
これからも、私たち<株式会社やまと>は<YAMATO Tsunagari Project>を通して、世の中に様々なつながりを生み出していきます。
アニエスベー/「アニエスベー」創始者・デザイナー
フランス・ヴェルサイユ生まれ。1975年、自身の名を冠したファッションブランド「アニエスベー」を立ち上げ、パリにブティックをオープン。1980年にニューヨークに2号店をオープンして以来、グローバルブランドとして世界中から愛されている。そのコレクションは、パリのエッセンスが詰まったシンプルなデザインに、優しくチャーミングなテイストが特徴。
ブランド創設より現在もデザイナーとして第一線で活躍しながら、アートギャラリー“LA FAB”を運営。アーティストサポート、音楽、写真、映画製作、環境保護やチャリティー活動などが彼女のインスピレーション源となり、バイタリティ溢れるパワフルな女性として知られる。
商品ラインナップ
agnès b. 半幅帯
ブルー
31,900円(税込)