制作事例

柳川藩主立花邸 御花 様

柳川藩主立花邸 御花 様

柳川藩主立花邸 御花 様

 江戸時代に柳川藩の藩主である立花家の邸宅として築かれ、約400 年の大名文化を受け継ぎ、現在も藩主の末裔が運営している料亭旅館。宿泊施設でありながら約7,000 坪の敷地全体が国指定名勝に指定され、民間で国指定の文化財を維持している稀有な場所として知られています。

 2025年1月11日、創業75周年を迎え、文化財の魅力をより体感できる宿へとリニューアルオープンされます。その節目にあたって、お客様が滞在される際のゆかた、スタッフの方の制服の半纏、料亭スタッフの方のきものを製作させていただきました。

滞在着のゆかたについて

 敷地内の文化財や柳川を渡るお舟の上でもゆかたを着ていただきたい、オリジナルのゆかたで、御花のお客様として柳川の町をより楽しんでいただきたい、というお声を受けて製作いたしました。
今回、ご提案の中で二種類の柄をデザインさせていただきました。
一つは能衣装からインスピレーションを受け、濃い紺地に立花家の家紋・祇園守り紋を散りばめた柄。
もう一つは、紫がかった紺色に、立花家の婚礼調度にあしらわれた蒔絵の唐草柄を図案化した柄。
どちらも、柳川の柳並木をイメージに藤を絡めた柳縞をベースにしています。
また、料亭旅館を創業した当時、立花家16代立花文子様が手書きした「おはな」の文字を、以前のゆかたから新しいゆかたにも引き継ぎました。

 ゆかたの生地の選定にあたっても、御花様とご相談させていただきました。
一般的なゆかたの薄手の生地とは異なり、通年でご着用いただくことを見据えた、しっとりとした厚みのある木綿の生地をお選びしております。

 仕立ては、ゆかたを着慣れない方にも向けて前巾をやや広めに。袖は通常よりやや短めの袂で、御花様の以前のゆかたのような筒袖の利便性と、ゆかたらしいゆったりと優雅なシルエットを兼ね備えた仕様になりました。

 また、年々海外からのお客様も増える御花様に合わせて、お子様の110cm から、大きめの3L サイズの8サイズをご用意いたしました。

 今回も弊社のものづくりのさんちとのネットワークを通じて、日本で織られた白生地を、日本のさんちで染め、日本国内で縫製したものです。

立花文子様の選んだ花々が配された以前のゆかたは、株式会社やまとの企画『YAMATO Lab.』のプロジェクトにご提供いただきました。

制服の半纏について

 御花で働く方々のための新たな制服をお作りいたしました。武家らしい格調の高さを兼ね備えるブランディングをお手伝いさせていただくために、半纏の仕立てでありながら紋付の羽織に近づけた家紋の入れ方をしています。

 また、江戸時代に藩主へお仕えする方々が着用していた法被をモチーフに、子持筋という模様を腰柄に。色は武家に好まれたという濃い藍色「褐色(かちいろ)」をお選びいただきました。

料亭で働く方々のためのきものについて

 御花の料亭で働く方々のためのきものをお仕立ていたしました。お選びいただいたのは、きものやまとオリジナルの「やまと可憐 色無地 紫紺」。裾さばきが良いポリエステルきもので、弊社こだわりの色合いに、七宝の地紋を入れた滑らかな生地感が特徴です。

写真は当社商品イメージのものです

写真は当社商品イメージのものです

お客様の声

今回、当社の印FORM をご利用いただいた事に関して
株式会社御花 様 にお話を伺いました。

Q. 貴社のこだわり、強みを教えていただけますか?

 御花の一番の強みは、「藩主の末裔」が営む宿であることです。
日本全国で、旧大名家、藩主の末裔が宿泊施設を営んでいるという例は他になく、唯一無二です。立花家は江戸時代以降も地域に根ざし、途絶えることなくこの屋敷や史料館、農園、神社を守り継いでいるからこそ、さまざまな物語や行事、想いが今も未来につながっています。

Q. 私たちの提案内容はいかがでしたか? また私たちを選んでいただいた理由も教えてください。

 私たちが100 年後の未来にも繋いでいきたい100 畳の大広間等をはじめとした文化財の空間に、従来のスーツジャケットは合わないのではないか。もっと文化財も人も、溶け込むような、魅力的な制服が作れないか…というモヤモヤが長年続いていた中、お客様の館内着の浴衣を検討しているうちに、やまとさんであれば、制服も何か素敵なものを作っていただけるのではないかと思い、相談しました。

 すると、私たちの細かな想いを汲み取ってくださり、紋付の羽織に近づけた家紋の入れ方にしたり、袖丈が長い格式が感じられるタイプの半纏を提案いただきました。飲食サービスを伴い、洋装で長らくオペレーションしてきた弊社にとって、袖丈が長い和の制服を導入するのは初めての試みでしたが、やまとさんに提案いただいた袖丈が長いタイプにして本当に良かったと感じています。和装を取り入れることで、その立ち居振る舞い方も美しさを意識できるようになりました。

 また、浴衣に関しても大名家としての魅力を活かし、婚礼調度の唐草模様や、お殿様が着用していた能衣装から着想して柄を制作いただきました。選んだどちらの柄もとても良かったです。大きく違うデザイン2 種が、実はつながり合っていたり、着物のようなデザインと、浴衣のようなデザインで、異なるからこそ2 つの柄が並んだ際により美しく見えると感じました。

 御花には、大名家の本質的な体験を求めてお越しになるお客様、日本文化を体験したいという方々が多くいらっしゃいます。衣を纏うというのは、とても身近にできる「文化体験」だと思うので、この浴衣をたくさんの方に着ていただき、文化財とともに楽しんでいただきたいと思っています。そして、検討を進めていく過程で、旧浴衣が実は素晴らしいデザインであることにもやまとさんは気づかせてくれました。料亭を創業した16 代の文子の文字を引き続き新浴衣にも入れる等、旧浴衣とのつながり合いも作ってくださりとても感謝しています。

 そして今回、旧浴衣については、株式会社やまとの企画(YAMATO Lab. 宿つなぎ) にも提供いたしましたが、こちらのアップサイクルのプロジェクトについてもお客様にご好評いただいております。ぜひ、今回導入した浴衣もお客様の浴衣として提供ができなくなった際にも、アップサイクルしていくことで良い循環を作っていきたいと思っています。まさに文化財を、手直しを重ねながら活用していく向き合いと、同じ形を衣で再現されていると感じています。

 やまとさんとは何度も打ち合わせを重ね、素晴らしい浴衣、そして半纏を作っていただきました。やまとさんにお願いをした理由は、お互いに共通したMVV(ミッション・ビジョン・バリュー) を持ち、その世界を体現しようと真剣に向き合っている会社様だと感じたからです。

 私たちのミッションは「永遠のこころのよりどころ」。やまとさんは、「きものと日本文化をアップデートし続ける」というものがあります。ビジョンに掲げていらっしゃる「きもの」でエキサイティングな世の中をつくる。という言葉にもあるように、やまとさんはパリに店舗を出されたり、若い方々にも受け入れられるような新たなブランドを立ち上げられていたり、「きもの」を楽しく未来に繋いでいくということを体現されています。私たちも、多くのチャレンジをしながら、文化財を未来に繋いでいきたいという想いがあり、やまとさんであれば一緒に歩んでいけるのではないかと思いました。

 実際にお願いをして、担当チームの皆様の熱い想いや、御花の魅力を最大限に引き出そうと試行錯誤してくださる姿にいつも勇気づけられていますし、本当にお願いして良かったと感じています。やまとさんは浴衣の白生地の手配から出来上がりまでものづくりを一貫されており、全国の伝統産業の作り手さんとつながっていることころも素敵だなと思います。

Q. 今回製作いただいたユニフォームの拘りのポイントをお聞かせいただけますか?

 文化財に溶け込むような、日本の文化的な景色を作ってくれるユニフォームになりました。江戸時代の大名行列や火消しの際にも活用していた法被のデザイン「子持ち筋」柄等をあしらったことにより、私たちならではの唯一無二のユニフォームにすることができました。御花で働く人々は、若い方からお年を召された方まで、幅広い年齢の方がいらっしゃるため、時代や年齢に左右されない普遍的なデザインで制作いただきました。

Q. 実際に新しいユニフォームを着てみた感想を教えていただけますか?

 リニューアルするホテル棟の竣工祭にて初めて袖を通したのですが、その瞬間から御花で働く人々が一体となる感覚が生まれました。お客様からは、館の黒漆喰の色合いともマッチしていて、昔から着ていたみたいと言っていただき嬉しかったです。メンバーからもとても好評で、年齢や性別に関係なく、かっこいいと言ってくれており、手応えを感じています。制服も含めて、文化を紡いでいくことができる素敵なものになったと感じています。

Q. 最後に、これからユニフォームの導入・リニューアルを検討されている方へメッセージをお願いします。

やまとさんは、いつ何時も真摯に寄り添ってくださり、ベストなユニフォームは何か、デザインのこだわりも含めて相談ができる会社様です。やまとさんでなければ、今回のユニフォームの導入は成功しなかったのではないかと思っています。ぜひ皆様も一度相談してみてはいかがでしょうか。

ご協力ありがとうございました。

柳川藩主立花邸 御花

〒832-0069 福岡県柳川市新外町1
TEL 0944-73-2189