<やまとで働く人>
やまと 人財開発課 比企百夏

―たくさん遊んで、たくさん学ぼう―

 やまとで働く個性的な仲間の、仕事以外の世界を紹介。今回は、人財開発課で採用や研修の仕事をしながら、日本最大規模の「日展」にて、書の作品が入選するなど、書道家としても活躍している比企百夏(2019年入社)にインタビューしました。

人財開発課 比企百夏(2019年入社)
―お気に入りの加賀友禅を着て―

Q. 書道を始めたのはいつからですか?

 「書道との出会いは、6歳の頃に仲の良かった友達が通っていた習字教室に行ったのが最初でした。そのころから今に至るまで、ずっと好きで続けており、高校も大学も、書道学科のある学校に進学しました。大学3年生のころから、今の書の先生に師事しています。

 書道には、いろいろな書体があり、楷書・行書・草書など様々ですが、私自身は、「仮名(かな)書道」のやわらかな雰囲気に魅了され、「仮名」の書道をやっています。仮名書道は、漢字を書く中国の書道には見られない、日本独自の書道文化です。書の題材に多く用いられる古今和歌集や万葉集なども大好きです。」

仮名書道

Q. きものに興味を持ったきっかけは?

――きもの姿が素敵な書の先生に憧れて、
きものに興味を持ちました。

「私が、きものに興味を持ったのは、大学生のときに師事していた先生が、展覧会や個展などで、きものを着ている姿を見て、素敵だな~、かっこいいな~、と憧れたことがきっかけでした。私もいつかは、きものを着て個展を開いてみたいなって思っています。

 大学卒業後の進路を考えた時に、書の道へそのまま進む選択肢もありましたが、当時私の中では、“書道しか知らない人間にはなりたくない”という想いが強かったんですね。そうした想いもあり、書道同様、日本文化の魅力を伝える仕事に就きたいと思い、今こうしてやまとで働いています。」

2021年 第8回「日展」出展作品 「ときわなる」 比企百夏 書

2021年 第8回「日展」出展作品
「ときわなる」 比企百夏 書


2022年 第9回「日展」出展作品 「夕さらず」 比企百夏 書

2022年 第9回「日展」出展作品
「夕さらず」 比企百夏 書

Q. 書道ときものに共通する魅力とは?

――人の手によって作り出される「味わい」

 「書道には “潤渇(じゅんかつ)の変化” という言葉があります。文字が濃く強く見える部分や、ちょっと色褪せてかすれた感じに見せる部分など、緩急・硬軟・濃淡などを計算しながら変化をつけることで、作品に奥行きを持たせます。これは決して機械では表現できない、極めて人間的なものだと思っています。

 機械製品では表現できない人間的な味わいは、きものでも同様に感じることがあります。たとえば、100%天然染料で染めた糸からつくられる “ミンサー帯” もその一つ。よ~く見ると、染めムラではないけど、微妙な色の変化があったりしますよね。機械製品に囲まれた現在では一見難物とみられることもあるかも知れませんが、わたしは、こうした手仕事ならではの“味わい”も、きものの魅力の一つだと感じています。」

――伝統の上でアップデートし続ける
ものづくりの姿勢

 「また、やまとでは、きもののさんちに行き、直接つくり手さんと触れ合う さんち研修 があるのですが、そこで、つくり手のみなさんが、伝統を受け継ぎながらも現代にあった新しい表現を生む努力をなさっているお話しを伺うことがしばしばあり、いつもそこに深く共感・感動すると共に、尊敬の念を抱いています。

 習字は、綺麗に美しく書くことを重きとしていますが、書道では、伝統を模倣するのではなく、自分で考え、新しいものを生み出して行くことが大切です。綺麗に書くという土台の技術はありつつも、その上で、例に倣うだけではなくアップデートし続ける姿勢は、書道も、きもののものづくりも似ているなと思います。」

Q. 書道での経験を仕事にどう活かしてみたいですか?

――いつか、きものとコラボレーション
できたら良いですね。

 「加賀友禅の作家さんは、構図・下絵から筆選び、色選びも師事している先生の流れを受け継ぎながら、その上で自分ならではの表現をされており、その証として落款を押しているところなどは、書にも通じるものがあるなと感じています。叶うかは分かりませんが、いつか、同じモチーフを題材にした書ときものの展示などが出来たら…などと想像するとワクワクしますね。」



筑波嶺つくばねの 新桑繭にいぐはまゆの きぬはあれど

君が御衣みけ あやに着欲しも


日本最古の和歌集「万葉集東歌」に登場した
結城紬さんちにまつわる歌。

結城紬にちなみ、吉祥文様である
亀甲文様の紙を選んで書きました。




筑波嶺つくばねの 新桑繭にいぐはまゆの きぬはあれど

君が御衣みけ あやに着欲しも


日本最古の和歌集「万葉集東歌」に登場した
結城紬さんちにまつわる歌。

結城紬にちなみ、吉祥文様である
亀甲文様の紙を選んで書きました。




――インスタグラムを使った
チャレンジをします!

 「きものを着る上で意識をしたい、日本の美しい季節の移り変わりを表現する二十四節季の七十二候を書道で書いてアップしていきます。ちょうど春の始まる立春からスタートして、みなさんにも季節を感じて頂ければと思いますので、是非フォローしてくださいね。」

Q. 最後にひとこと

――個性豊かな仲間が揃う、
面白い会社「やまと」

 「同じ部署の人たちが、展示会を見に来てくれたり、応援してくれたりするのを、とっても嬉しく思っています。以前は、仕事は仕事、プライベートはプライベートと分けて考えることもあったのですが、得意なことを認めてもらえ、活かせる仕事環境というのは、とても良いなと感じています。

 やまとには、いろいろな個性を持った仲間が大勢います。私は現在、人財開発課で採用や研修を担当していますが、みんなの個性をもっとオープンに出して、活かすことができたら、今以上に“面白い会社”になるだろうな!って思います。」


比企さん、ありがとうございました。