結城紬のものづくりは、日本の農耕文化の中から生まれた、まるでお米作りのようなものだと感じました。時間が掛かり、自然が相手だということ。だから私たちは結城紬を着ると温かさに癒され安心するんだなと思います。

結城さんちは神様をとても大切にしているのだなと感じました。天照大御神、井戸神様、お釜様など神様お話をしてくださるのは結城さんちが初めてでした。

「お客様からお預かりした大切なおきものなので、たとう紙を開けた時に感動してもらうため、最後まで責任を持って手を抜かずに行っている」という熱い想いを聞いて、その想いのバトンを私たちがお客様へしっかりと届けたいと思いました。

やまとのはじく加工では、防水や防汚の効果を維持しつつ、きものの風合いや美しさを損なわないように工夫されており、見えない部分にまで心を配るプロの仕事を間近で感じることができました。

織工さんと対面して、まず目に入ったのは背中の丸み・絣を合わせてきた親指の反りでした。生涯を大島紬に捧げてきたことを体現されている姿にとても惹きこまれました。目には見えない大切なものを認識させていただいた体験でした。

戦争やいくつもの不合理な支配を経験してなお、大島紬の歴史を絶やさず今に繋げてきた、静かで我慢強く熱い気質が、大島紬の美しさに詰まっていると感じました。