

Special対談
「白シャツのように着る 新しい日常をつくるきもの」をブランドコンセプトとするTHE YARD
日本の伝統的なものづくりを大切にしながら、現代のライフスタイルやカルチャーに溶け込むシンプルで洗練された装いを提案しています。これまできものとは無縁だと思っていた人にこそ、身につけて、新しいライフスタイルを体験していただきたいという思いから2015年にスタートしました。
今回はそんなTHE YARDと関わりの深い各界のスペシャリストに対談形式でお話を伺いました。
紹介
紹介

岡本菜穂さん <SIRI SIRIデザイナー>
空間デザインを学んだ後、インテリアの仕事をする中でジュエリー創作を志す。自然素材や身の周りにある素材を、工芸とデザインの力でジュエリーへと昇華させるブランド 「SIRI SIRI」 を2006年にスタート。現在はスイスを拠点に活動を行う。
THE YARDでは、別注の帯留やきものに合うジュエリーをセレクトし展開しています。

井伊百合子さん <スタイリスト>
文化服装学院で服づくりを学びながら、スタイリストのSonya S.Park氏に師事。2008年独立後、数多くの雑誌や広告、俳優のスタイリングやファッションブランドのルックブックなどを手がけています。
THE YARDではアドバイザーを務めていただいています。

枝比呂子さん <プレス>
大手アパレルプレスを経て独立し、現在はファッションやジュエリーブランド、スポーツメーカーなどのPRを手がけています。ファッションのポジティブな力を社会課題の解決に繋げるプロジェクト「+IPPO PROJECT」を井伊百合子氏と主催し、THE YARDではプレスとしてまた着付師としても関わっていただいています。

岡本菜穂さん <SIRI SIRIデザイナー>
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岡本菜穂さん <SIRI SIRIデザイナー>
空間デザインを学んだ後、インテリアの仕事をする中でジュエリー創作を志す。自然素材や身の周りにある素材を、工芸とデザインの力でジュエリーへと昇華させるブランド 「SIRI SIRI」 を2006年にスタート。現在はスイスを拠点に活動を行う。
THE YARDでは、別注の帯留やきものに合うジュエリーをセレクトし展開しています。

井伊百合子さん <スタイリスト>
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井伊百合子さん <スタイリスト>
文化服装学院で服づくりを学びながら、スタイリストのSonya S.Park氏に師事。2008年独立後、数多くの雑誌や広告、俳優のスタイリングやファッションブランドのルックブックなどを手がけています。
THE YARDではアドバイザーを務めていただいています。

枝比呂子さん <プレス>
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枝比呂子さん <プレス>
大手アパレルプレスを経て独立し、現在はファッションやジュエリーブランド、スポーツメーカーなどのPRを手がけています。ファッションのポジティブな力を社会課題の解決に繋げるプロジェクト「+IPPO PROJECT」を井伊百合子氏と主催し、THE YARDではプレスとしてまた着付師としても関わっていただいています。
出会いは偶然という名の必然
出会いは偶然という名の必然
‐皆さんの出会いを教えてください
岡本
枝さんとはもう20年前くらいになります。当時SIRI SIRIを始めたばかりのころ、あるアートイベントに出て、そこで枝さんに見つけてもらって。
枝
当時はセレクトショップのPRをしていて、リサーチで行っていたと思うんですけど。遠くから見えた時に、わあ!なんかすごい透明感のある素敵な人がいる!て思って、近づいたらとても美しいジュエリーを作られていて、すぐにバイヤーに話して見てもらいました。
岡本
それが本当にブランドのスタートなんです。SIRI SIRIが世に出るきっかけをつくってもらいました。
枝
今の作品もその時見たものの延長線というか。ものづくりの姿勢は変わらずにやっていらっしゃって。当時は伝統工芸の技を取り入れたジュエリーで素敵なものを見たことなくて。セレクトショップをやっていたのでいろんなジュエリーや、お洋服を見ていましたが、SIRI SIRI はとても衝撃でした。それに、岡本さんの美しさも相まって、美しい人は美しいものつくるんだと、思ったのを覚えています。
岡本
当時、もう19年前から、今のように伝統工芸を使ってものづくりしていたのですが、それを全然謳ったりはしていませんでした。でも実際販売するときに、江戸切子でつくっているということがフックになったりすることもあって。伝統工芸品であることが、ものを持ちたい、買いたいというきっかけになる。そういう視点があるなんだな、ってSIRI SIRIをやっていて知りました。
‐Made in Japanであること、工芸品やものづくりへの感度の高さがお客様にはあったのですね。
岡本
そうですね。いまでこそ、日本国内や海外でもMade in Japanが素敵なものとみられていますが、当時はそういう空気感じゃなかったように思います。まだフランスとかイタリアからくる洋服やジュエリーに憧れがあって、そっちの方がいいよねって。今は日本でつくられていることが価値になったりするけど、ほんと当時はそういう空気感じゃなかったから、そこがフックになるって知らなかった。


共に仕事をしたい、関係性が続く刺激的な間柄
共に仕事をしたい、関係性が続く
刺激的な間柄
‐お互いへの印象を教えてください。
井伊
二人とも大尊敬!枝さんには、私がアシスタント時代からお世話になっていました。すごいバイタリティのある人で。
岡本
ね。いつもほんとに変わらずエネルギーがある!こうなりたいって思う人。ずっと変わらない。
枝
嬉しい!!ありがとうございます!
岡本
私にとって枝さんは、“みつけてくれた人”でもありますし。井伊ちゃんは同い年くらいで一緒に頑張ってきた世代。当時20代半ば、まだ何者かになれる気がしていて、でも何者でもない時から、互いに近いところにある世界観を描きながら頑張ってきて。今も何者でもないんですけどね。すごく刺激をもらっています。枝さんは、うん、どちらかというともうお母さん。笑。
枝
母!笑。 でもわかる。私も岡本さんの事、ブランド立ち上げから見てきているから、、岡本さんの活躍や飛躍を知ると、感慨深い思いがあるなぁ。ずっと応援しているし、ファンです。
岡本
枝さんとは一緒にお仕事しているって感じはしないんですけど、なんか近くにいつも感じています。それは出会ったときからかな。セレクトショップのPRの人なんだけど、それを超えた関係のつくり方をされる。そういうスタンスの人いるんだなって新鮮でした。
井伊
わかります。近くに感じる。その距離感がうれしかったかな。友達とも違うけど、本当に頼りになって刺激をもらえる人。
枝
井伊さんとは子供も同い年でね。母としても女性としてもお手本にしているし、何かあると相談したいなって思う相手ですね。言葉に重みがあるの。言葉数多くはないんだけど、すごく刺さる言葉をくれるから。
岡本
井伊ちゃんのスタンス、会った頃と変化しているように思います。お母さんになったのもあるだろうし、私はずっと同じステップのところにいる感じがするけど、井伊ちゃんはそのステップがどんどん変わっていると感じる。性格も変わってきている気もするし。笑。
井伊
大人になってきています。笑。


THE YARDから得たもの
THE YARDから得たもの
‐THE YARDに対してどんな想いですか。
井伊
きものの文化を日常に、もっとライフスタイルに寄り添って、と思っていたけど、誰もそれを具現化していなかった。THE YARDはその世界観を実現してくれているのがいいなって思っています。
枝
SIRI SIRIさんとはコラボのお洋服や帯留を作ったよね。
岡本
すごく新鮮でした。帯留ももちろんなんですけど、SIRI SIRIのジュエリーときものをこんな風に合わせるのもありなんだって、ピアスとかヘアアクセサリーとか。
枝
私の仕事は、ブランドとメディアの間に入り、それぞれがどういう風に向き合うのか、どんな相乗効果を生みだせるようにするかを考えるから、そこには“自分が”、というのはあまりないんです。でも、THE YARDをきっかけに、着付けの勉強もして、今は着付師の仕事もしています。そこでは自分でカタチにできるおもしろさ、みたいなものもすごく感じさせてもらっています。最初はきものも着られず無知でしたが、井伊さんに声をかけてもらった事で今があるし、良いきっかけと出会いをいただきました。
井伊
THE YARDはみんなそれぞれが持っているフィールドとは違う場所に連れて行ってくれた。そんなきっかけになったブランドかもしれません。THE YARDはアドバイザーとして携わっていますが、普段の仕事の取り組み方とは全然違うんです。普段雑誌の仕事は、企画ごとに短期集中でめまぐるしく変わっていきますが、THE YARDの仕事は、もっと長いスパン(半年~1年先)を見据えてものづくりをしています。継続したものづくりに携わっているので、心の置き方が違うように思います。あと、きものって装い方や形とかそんなに変わらないじゃないですか。その変わらないことを大切に、軸にしてやる面白さはあるなと思います。形や着方が大幅に変わるってことないから。それはすごくおもしろいなと。

THE YARDが担うもの‐きものの入り口であり、出口になる‐
THE YARDが担うもの‐きものの入り口であり、出口になる‐
‐この先、きものとどんな未来を描きますか
井伊
私も、携わる前までは、きものってものすごく敷居の高いものと思っていました。伝統工芸品とかってカテゴライズしてしまうとちょっと特別なものとして意識してしまうと思いますし。確かに着付をマスターしなきゃとか、着付小物揃えなきゃとかあると思うんですけど、そこを一つ越えると、“あ、今日お天気がいいから着て見ようかな”とか、そういうことが叶うんですよね。そうするときものとの距離がぐっと縮まる。あと、工芸品に関しても、愛でるため・見るためにではなく、触れて使う・楽しむに発展していく、暮らしの中に置いて楽しむ、みたいな気持ちを持ってみると良いのかなって。
枝
きものを着てみたいって人は結構いると思います。着るきっかけがなくて着てこなかったけど、着てみたいって方は多いと実感していて。THE YARDの『はじめてのきもの』という企画で、毎回いろんなゲストに出演をお願いしているのですが、着物興味ないかも?て思う方に声かけてみても、すごく着てみたかったの!と仰っていただけます。
やっぱり敷居が高そうだから、私なんか着れるのかな?、着ていいのかな?、どこに着ていくのかな?ってクエスチョンマークが多い。でもきっかけさえあれば、入ってくださる方多いと思います。
だから、THE YARDは、はじめてきものを着る方の入口でもあるし、沢山着てきた方には、今までの和装の概念を抜け出せる出口でもある。そんな存在なのかなと。
岡本
敷居って何かなと思うと、ルールがあるって意識なのかなって。ルールもシチュエーションによってどうやら違うらしい、ということも何となく知っていて。そういうことがあるらしいぞと。それを侵さないように気を付けて着なきゃいけない、というのがハードル高く感じますよね。
ルールがなくなって自由に着られるようになると心理的ハードルが下がるんじゃないかな。着ている方が楽しければ、自分が楽しくもっと自由に着ていることを肯定できるといいですよね。
‐本日のコーディネートのポイント



帯が素敵だなと思って選びました。伊勢型の柄が、グラフィカルでモダンな感じがいいなと。色も、お洋服でもコントラストのある組み合わせが好きなので、クリーンだけどで少し辛口なコーディネートにしました。SIRI SIRIの帯留も涼しげで今からは特にいいですよね。



ふだんの装いに取り入れることはほとんどない色でも、挑戦してみようと思えるのは和装の面白さの一つです。
淡い藤色は初めて着ましたが、思いのほか馴染みが良い色です。
潔い白の帯揚げと三分紐で凛とした合わせにしてみました。



洋服の延長線上で選びました。茶系・グレー系は普段も着る色で、気負わず着られる感じが良いなと思っています。柄はトンボで可愛らしいのですが、落ち着いた色に白の爽やかさ、そこに濃いブルーの帯〆で引き締めて、大人のコーディネートなったかな。
‐本日のコーディネートのポイント
岡本
帯が素敵だなと思って選びました。伊勢型の柄が、グラフィカルでモダンな感じがいいなと。色も、お洋服でもコントラストのある組み合わせが好きなので、クリーンだけどで少し辛口なコーディネートにしました。SIRI SIRIの帯留も涼しげで今からは特にいいですよね。
井伊
ふだんの装いに取り入れることはほとんどない色でも、挑戦してみようと思えるのは和装の面白さの一つです。
淡い藤色は初めて着ましたが、思いのほか馴染みが良い色です。
潔い白の帯揚げと三分紐で凛とした合わせにしてみました。
枝
洋服の延長線上で選びました。茶系・グレー系は普段も着る色で、気負わず着られる感じが良いなと思っています。柄はトンボで可愛らしいのですが、落ち着いた色に白の爽やかさ、そこに濃いブルーの帯〆で引き締めて、大人のコーディネートなったかな。