ハタチのわたし Interview
Kanoco /モデル
兵庫県生まれ。「リンネル」「ONKUL」「NAVYS」「OZ magazine」など数多くのファッション・カルチャー誌を中心に、広告・MVでも幅広く活躍中。
夢だった「モデル」の仕事。強い意思と行動力は、憧れを現実に、偶然を必然にするのだと感じさせる。
後編は、ご自身のことだけでなく、愛する人やこれからの未来について真摯に向き合い語ってくれました。
後 編
<影響を受けた人々と日々の学び>
素敵な人々と出会い、
自分を育ててくれた
ーー「生涯モデル」宣言。その裏にある覚悟と
“モデルの仕事が好き”という気持ちがとても伝わります。
どんな質問にも真摯に答えてくださる姿勢もとても魅力的ですが、これまで影響を受けたものはありますか。
これっていうのは特にないんですけど、、日々この仕事を続けてきて、きっと素敵な人に会える機会が多いからですかね。その時に、自分が好きって思った人たちとか、ものとか、場所とかを取り入れていって、 今がある、という感じ。例えば、会うと毎回小さな変化に気付いて褒めてくださる方がいたり、前回の話を覚えていて、じゃあ次はこうだよね、と話ができる方がいたり。そういう些細なことなんですけど、作業でこなしちゃうと絶対できないじゃないですか。だから、人に興味があって、人が好きっていう方はすごく魅力的に感じますし、そんな風になりたいなと。でも根本はそんなには変わってはないとも思います。元ギャルなんでね(笑)。負けず嫌いなところとか。ほんといろんな方の影響を受けて、今があります。
<迷いや悩みへの向き合い方>
頭を整理するために、紙に書き出す
ーー根底にKanocoさんの芯の強さを感じますね。
そんなKanocoさんが悩んだり迷ったりした時の解決方法があれば教えてください。
解決方法は、上京するかしないかの時もそうだったんですけど、もう全て紙に書く。 書き出します、全部。上京の時も、メリットとデメリットを書き出して。で、実はデメリットがすごく多かったんですよ。 でも、メリットの「やりたい」っていうそのたった1つが大きすぎて上京することを決めました。これは、論理的な結論を出したいためではなくて、頭の中を整理するためにやっています。自分で書くと、自分の思っていることを目で見て俯瞰してわかるので。紙に書くっていうのは、いまだに変わってないですね。
ーーとてもお忙しい毎日かと思うのですが、リセットする瞬間や心を整える時間はありますか?
朝ですかね。朝時間。モデルの仕事は朝が早いので、朝は夫がいろいろやってくれます。なので朝はどれだけ早くても大丈夫なんです。仕事の前に早く来て、ちょっとコーヒーを飲むのが母からのスイッチというか。そのまま来ると、なんかバタバタ~っと、はいメイク~みたいになっちゃうから。1回ちょっとどこかで、ふーってして。ちゃんとその日の、仕事だったり、その日会う人に向けて気持ちを整えて。ちゃんとおはようございますって言えるように、早めに行くようにしています。朝の空気も好きで。暑い時も寒い時も、朝はちょっと澄んでるというか、綺麗な空気な気がして大好き。
<母になって変わったことと新たな視点>
自分の命を迷わず差し出せる存在
ーーお子様が生まれて変わりましたか
大事にするものというか根底は何も変わっていないんですが、その周りを取り巻くもの全て変わってしまったという感覚です。誰かを大切に思う気持ちとか、思い出を大事にしたいとか、そういうものは何も変わってはないんですけど、でも、母になって、自分の命を迷わずさっと差し出せられるような存在ができたっていうのは、自分でもびっくりしています。 そんなふうに思える存在ができるなんてって。自分しかなく生きてきたから、自分より優先できるものがあるって新しい感覚です。
ーー仕事との向き合い方はいかがですか
お仕事は本当に好きで。でも1人目の時は一歳まで預けず。それでも産後2ヶ月ぐらいで仕事復帰したんですね。でもすごく難しくて。預けてないので、誰かがいないと仕事ができないっていうのがすごくつらい時期もありました。自分の仕事をするのに、誰かの協力を得ないとできないっていうのがすごく心が辛くて。仕事って悪いことなのかなみたいな気持ちになっちゃって。で、なんか諦めることを覚えてしまって。諦めた方が楽だし。諦めて子供と時間を過ごせるのはいいことなんですけど。その1年間、子供と過ごすのはもう最高に濃密で楽しい時間だったんですけど、仕事に関してはなんか心苦しかった。だから、2人目はもう何も諦めないって決めたんです。2人目を出産するまでに仕事が戻ってきていたのもあって、それをまた0にするのがどうしても悔しい気持ちになってしまって。でも、これって自分が頑張るって決めれば諦めずにできるんじゃないか、とも思ったんです。だから、うん、30代はそれだ!諦めない!それでいこう!という気持ち。今は子どもとの時間も自分の好きも諦めない、それを学んでいます。
<未来への挑戦>
まだまだ走り続ける。
今頑張ることが
未来のわたしをつくるから。
ーーすごく軽やかでいいですね。自分たちの幸せの形を自分たちなりに探している。お子さんとの時間はすごく幸せで、もうそれはその時のかけがえのない時間なんだけれども、でも一方で、自分を生きる時間もかけがえはなくて。
はい、両方とも欲張っていこうよって。30代まだまだ頑張れるし。子育ても仕事も育児も、全部頑張っても30代いけるでしょって思って。そう思った時が1番若いですしね。30代のうちは全部を頑張るって決めています。私はやっぱりモデルで居続けたいし、生涯モデルでいることに挑戦したいんです。10年後どうなってるかわからないけど、そこに繋がるために、今、とりあえず必死に走ってます。
<ハタチを迎える方へのメッセージ>
自分の好きなことを見つけて、
焦らずに歩んでほしい
ーー最後に、今ハタチを迎える方に向けて、メッセージをお願いします。
自分はモデルの仕事が好きって思えていて。そんな好きなものに出会えるってすごい幸せなことだなと思っているんです。でも、好きな仕事をするっていうのだけが正解ではもちろんなくて。旅行が好きだったり、ご飯食べるのが好きだったり、そのために稼いで、趣味に使うっていうのも正解だと思う。
だから、自分の好きを見つけて、自分なりの楽しさのある人生を送ってほしいなって思いますね。
人生1回きりだから。それに、まだ好きが見つかってなくても焦らないでほしいなって思います。世界は本当に広くって、大人って思ったより楽しい。自分の足で切り拓いて歩いていくことのおもしろさとか、その分責任はあるけど、思ってるより楽しい。もう夢や好きを見つけている人はもうそのまま行っちゃえって感じですし、そうじゃなくても、大丈夫だよって。いつでもどこでも方向チェンジできる。そう思ったときが一番若いんだから。
Kanocoさんの右耳に輝くのは、お母様から譲り受けたパールをリメイクしたもの。
ご家族の仲の良さと愛情を感じるエピソードが。
「厄年に長いものをもらうといいんですよね。母からもらったネックレス、長かったので調整した時に余ったものをイヤリングにしたんです。」
Kanocoさんの言葉には、
どんな時でも自分を信じて進む力強さと、
人生の選択に対する深い思慮が感じられました。
彼女がモデルとして歩んできた道のり、日々を慈しみ、
「好き」に向かって一歩一歩踏み出すことで、
どんな未来も切り拓ける
——そんなメッセージを受け取ることができました。
人生には迷いや悩みもあるけれど、どんな瞬間でも
自分の本当に望むことを大切にすることが、
最終的には自分らしい幸せをつかむ鍵になると
感じさせてくれるインタビューでした。
Kanocoさんが描く未来へのビジョンや、
今も前向きに挑戦し続ける姿勢は、
私たちにも勇気と希望を与えてくれます。
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