DOUBLE MAISON京都
期間限定SHOPオープン記念トーク

京都のミナペルホネンが入っているビルの一角に期間限定ショップをオープンしました。
大森伃佑子さんと、京都と東京で活躍されている多屋澄礼さんとのトークです。
DOUBLEMAISON 京都期間限定SHOP

PROFILE
多屋 澄礼(たや すみれ)

1985年生まれ。Tavi Gevinson編集の『Rookie Year Book One』日本版の翻訳監修をつとめ、アレクサ・チャン『IT』日本語版、女性ミュージシャンのライフストーリーを綴った『フィメール・コンプレックス』、京都のガイドブックとして『NewKyoto 京都おしゃれローカルガイド』などを執筆、京都の KBSラジオでは「多屋澄礼のNew Kyoto」のパーソナリティを務めている。
2009年にDJグループTwee Grrrls Clubを結成し、レーベル&ショップ「Violet And Claire」オープン。「Violet And Claire」では女性作家や海外の雑貨などをセレクト。伊勢丹新宿店 Isetan Girls フロア選曲など音楽、ファッションを軸に活動中。


  
大森 伃佑子(おおもり ようこ)

DOUBLE MAISONディレクター。伝説の雑誌『オリーブ』で長年、人気スタイリストとして数々のスタイリングを手がける。『オリーブ』初期からのメンバーで、ファッションの一時代を築く。主な仕事に、雑誌『装苑』の連載「FOR A GIRL」、ムック『KIMONO姫』、テレビドラマ「おせん」のスタイリング、個展「家紋展」(京都、東京、ロンドンほか)、「ガーリッシュ・カルチャー リカちゃん展」(神戸、東京、札幌)のディレクションなど。金沢21世紀美術館「不自由な夢 大森伃佑子とマエダサチコ」展。 著書に『SLEEP FOOTSTEPS OF DREAM/夢のあしあと』や、『FOR A GIRL』、『リ・ガール』など。

コーディネーター
矢嶋 孝敏 (やじま たかとし)

1988年 株式会社やまと代表取締役社長就任、2010年 同社代表取締役会長就任。大森伃佑子氏ディレクションによる「DOUBLE MAISON」をはじめ「なでしこ」「Y. & SONS」「THE YARD」など、数多くのブランドや店舗を手がけている。一般財団法人「衣服研究振興会」理事長。2015年 書籍『きものの森』出版。2016年 書籍『つくりべの森』出版。



DOUBLEMAISON 京都期間限定SHOP


矢嶋:はじめに、澄礼さんと、大森さんのなれそめから教えてください。

大森:なれそめは、京都でお店をオープンするにあたってスタッフを探していて、色んな人脈のネットワークを伝っていたとき、塩川いづみさんにスゴく京都に強い人がいるって聞いてどんな人だろう? って思い、会いに行ったのが最初でした。

多屋:そうでしたね。私がやっている渋谷 宇田川町の「VIOLET AND CLAIRE」に来ていただきましたね。

大森:お会いしたら、めっちゃガーリーでカワイイ方だったんですね。塩川いづみさんのご紹介のネットワークだと絶対可愛くてガーリー系なので、そこは太いパイプかなって思ってましたけど、大当たりでした。

多屋:最初にお越しになる前にお電話いただいたとき、「『Rookie Year Book One』の翻訳をやっているんだよね、その本を見た」とお話しされていましたね。

大森:『GINZA』や『オリーブ』の近田まりこさんと蔦屋に行った時に『Rookie』を見かけて、2人でカワイイね、なんだろうね、って言ってたんです。その後、私の気になる店に行くと、その本が置いてあったりしてずっと気になってたんです。

多屋:最初にお話しした時、大森さんが「普段、本屋さんに行かないし、見ないけど、この本はず~っと気になっていて…」っておっしゃっていただいて。

大森:そうそう、私あまり本屋さんに行かないんだけど1年に1度くらいのタイミングで本屋さんに行ったのね。そしたら、その時も『Rookie』を手にしてたの。気になるから、また買いにこようって思ってて。

多屋:重たいですからね、あの本。ヴォリュームがあって。

大森:それでこの人めっちゃ興味ある~と思ってて。お会いしたのはつい最近だよね。

矢嶋:澄礼さんは、大森さんに会ってどうでしたか?

多屋:大森さんは、私の中では本当にレジェンドでカリスマでした。自分はリアルオリーブ世代ではないけれども、憧れはずっとありました。また以前から、大森さんとゆかりのある遠藤リカさんとは、お仕事でのご縁もあったんです。遠藤リカさんがされていたパルコのMEETSCALストアでのポップアップにレコードを選んで置いてもらったり、私のお店にも、オープンしたくらいの頃からビンテージのアイテムなどをリースしに来てくれたりしていて。

大森:で、それでお店に行ったときに、私も知ってる装苑の編集の人がいたんだよね。

多屋:そうそう、私、装苑ONLINEのコラムを担当していて。そういえば、今回の『装苑7月号』のドゥーブルメゾンのページ、可愛かったですよね!

矢嶋:男子と比べると女子の方が、そういうネットワークは凄い!男子は敵わない!

大森:勘が働くんですよ、女子は。いろんな空気感の中で繋がっていくみたいな。澄礼さんの知り合いが私の知り合いで、結局こんなに繋がってたんだ!ってね。私たちって、今まで会わなかっただけでも不思議なくらいの2人だよね。


雑誌装苑に掲載のDOUBLEMAISONゆかたコーディネート


多屋:実は私、だいぶ前からドゥーブルメゾンの展示会に行っていたんです。浅草ライオンビルの時も。その時は、グレーのベルベットのワンピースを買いました。 大森さんは、ちょうどいらっしゃらなくってお会いできませんでしたけど。 あと、表参道でされてた展示会も見に行ってました。

大森・矢嶋:「え!本当!?」(大森さんと二人で)…ハモりましたね(笑)

多屋:塩川いづみさんがイラストを描いているだけで、ものすごく良い!みたいな感じで。その時は、誰も知っている人がいなくて、洋服を買って帰りました。

大森:なるほどね、それがアンテナだもんね、女子の。好きなイラストレーターが関わっているというだけで、好きになっちゃうようなところがあるよね。

多屋:ドゥーブルメゾンは、一番最初の始まりから見ていますから。ドゥーブルメゾンのサイトが始まって、塩川さんのカワイイ街の絵とかを見て、あ~もう、なんでこんなに可愛いんだろうって、ず~っと思ってました。それに服の見せ方が他と全然違いますもんね。ちゃんとそこには、女の子が住んでいて…といったストーリーがあって。それこそ初期であれば、ランプ原宿での展示会なんかも、本当に好きで見に行っていたんです。あと、私、brownie and tea roomのフリーマーケットとかも行っていますよ。

大森:ブラウニーも、そういう意味では繋がっているよね。

多屋:塩川さんがフリマに参加されている時に行きました。すごく良いお店で。

大森:小梅さんや、岡尾美代子さんなんかも、そこに参加してたりしてて、結局あとでみんなが繋がっていたなんて分かったり…。

多屋:最終的にどこかで繋がりますよね!

大森:そういうところで一緒になるところが、男子とちょっと違うところかな?

多屋:ただ、皆さん私よりちょっと上の世代なんですよね。私はちょっとだけ皆さんより下がるところくらいで…。まわりにはあまり、同じ年くらいでバリバリ仕事している人はいないんです。逆に、年下をみると、あの『Rookie』という本に10代の女の子がたくさん関わってくれていて、そう思うとスゴイですよね。


大森:ちょっとその『Rookie』の説明をしてください。

多屋:タヴィ・ジェビンソンという10代の女の子が編集長をやっているウェブマガジンの記事をまとめたもので、10代の女の子が感じていることや、コラージュだったり、写真だったりが載ってたり。それが、みんな大人にコントロールされていなくて、自分たちが信念を持って考えている“カワイイ”という世界が、ちゃんと本に詰まっていることが、私は魅力だと思っていて…。あれは、大人が書いていたら全然面白くないし、リアルではなくなってしまうものだと思います。

大森:あの未完成さって、なかなか出来ないよね。

多屋:大人では、絶対に出来ないですしね。でも、大人になってもそれに共感できる自分がいることは、良かった、とも思うんです。その10代の頃のトキメキのような気持ちを変わらずに持っていることを再確認できる本としては、すごく大事な本だなぁ、と思っています。



ROOKIE


大森:私も、自分の基本は19歳なんだよね。そのころに思っていたイタい気持ち、ひたすらダサくて、何しても外す…(笑)。それがいまだにあって、今もそう。

多屋:そこに遊び心があるものなんですよね。でも、そうしたことって大人になると忘れてしまいますから。

大森:19歳とちょっと違うのは、今はそこを乗り越えられるスキル、知恵や経験値が少しあるってとこかな。19歳には何も無いもんね。ただイタいだけで終わっちゃう。

多屋:でも10代には、時間だけは沢山ありますからね。

大森:あと、未来もね。

多屋:あの頃の気持ちって、本当に大事だと思います。

大森:だから、学生のレクチャーに行くのは楽しみなんです。19歳の迷える子たちに、「迷っているんだよね~。私も今も迷ってるから、大丈夫!」と言ってあげたい。

多屋:私も自分が大人になった、という実感がないですね。



DOUBLEMAISON 大森伃佑子さんと多屋澄礼さん


矢嶋:お二人のお話を聞いていると、水面下での必然的な繋がりのようなものを感じます。今回の京都のお店も、ミナペルホネンの皆川明さんや、田中景子さんとも仲が良くて、数年前から半ば冗談半分に、ドゥーブルメゾンのショップをやるなら、この寿ビルディングが良いよねって言っていたんだよね。

大森:ミナペルホネンの田中景子さんや長江青さんとは、女子の強い絆みたいなものがあって。なんというかもう女子体育会系の強い深い絆です。折れない‼︎やつ。折れても支えあう、というような。

多屋:そういう意味では、あの場所でやるのは、気持ちの面でもすごくリラックスできますよね。逆に、変なところに店を出すと、ここでよかったのかなぁ~みたいにモヤモヤした感じになりますよ、きっと。

大森:本当に信頼している人達だから、ここでやる意味は十分あると思ってお願いしたら、たまたま空いていて快く協力してくださり什器まで貸してもらったんです。これが、自分でいうのもおかしいけど、「ひき」の強さ、女子の思い込みの強さでもあります。

矢嶋:つくづく男子とは違う、ビジネスともいえない、男子にないネットワーキング、チームワーキングをしみじみ感じます。

大森:女子は常にビジネスにはない、お金では割り切れない交換を何かしているんですよね。男子に比べるとささやかなことなのですが、その規模感も大事で、信頼だったり気持ちを交換することって、お金に換算することは出来ないけどビジネスと同じくらいの換算力があるのだと思います。

多屋:本当に、そうですよね。

矢嶋:大森さんは、今回のショップをオープンしてみてどうですか?

大森:決まったのが4月だったので、バタバタ感はあったけれど、寿ビルディングに出るのであれば、そこを決めたことで一つのハードルを超えるような、無理しなくてもいい、お金をかけなくてもあるものでいいし、気持ち良くやろうと思うようになりました。だけど助けてくれるミナの皆さんを裏切らないという自分に課したプレッシャーは大きかったですけど…。

多屋:京都という街の中にあるだけでも何か、す~っと入ってくる感じがしますよね。

大森:東京だったら、そうはいかないかも知れない。東京のプレスやファッション業界から、ちょっと離れた所でという、ユルさのような気軽さもあったかも。

矢嶋:澄礼さんがお住いの京都で、ショップを開いたのですが、ご覧になられた感想を聞かせてください。

多屋:京都の街に、まったく違和感なく、すんなり馴染むだろうな、という気持ちは勿論ありました。あの寿ビルディング全体のセンスには揺るぎないものがあって、1階のミナペルホネンもそうですし、5階にある絵本屋さんのメリーゴーランドもそうですし。あそこに入れることって、なかなか無いと思います。他のブランドが入ると聞いたら、京都の人たちからすれば何でそれが? となるけど、それがなく、すんなり入れたというのは、すごく良いなと思いました。また、ゆかたも、きものも、あのビルには無かったので、そういうものもあったらいいな、と思っている人もいるんじゃないかとも思います。

大森:ドゥーブルメゾンのショップを出すのに期待されているのは何なのか、やりたいことは何なのか、と考えたとき、「和と洋を繋ぎたい。着物自体、着るものであって洋服と変わらない。」と言っているけど、そのハコは、和っぽい家でもないし、洋館でもない。でも今回、あの寿ビルディングの古さはどちらでもない、日本の時を超えている感じが、ドゥーブルメゾンを助けてくれたかと思います。

多屋:ドゥーブルメゾンの洋服はミナペルホネンのテキスタイルの感じとは別だと思います。洋服という切り口は一緒ですけど全然別物で、ドゥーブルメゾンのストイックというか、修道女のようなとも少し違うけど、私はあの雰囲気がとても好きで、すごく良いな!と思っています。

大森:ディスプレイはミナペルホネンから什器をお借りして、ちょっと北欧風の色でした。元々部屋も少し洋風ではあるのですが、やまとにあった桐箱という日本の和の感じのものを真っ直ぐに置くことで、和と洋を表現しました。ディスプレイ0円(?)というのも達成感を感じてます(笑)。

矢嶋:私も、京都で、というより、ミナペルホネンのビルで、というイメージの方が強いのですが、京都にショップを出すことに、何か想いはありますか?

大森:私も、ミナペルホネンのビルだったから、というのはありますけど、京都は東京とは違う人の集まり方をしていて…。東京は細かくジャンル分けされすぎていて、この格好の、この年齢の人はこのビルだとか、このエリアに買い物へ行く、というようなことありますよね。だから、ここの服が欲しいけどちょっと行きづらい…みたいな。東京では、どうしても売りたいターゲットが絞られ過ぎていますけど、地方には、それがなくって混ざってます。セレクトも年齢層もバラバラ。だから、東京よりも地方の方が、洋服や色々なものが買いやすいとも言えるかもしれません。超ハイブランドの店も、東京ではこの格好だと入りにくいなぁ…ということもありますが、地方だと入れてしまう。東京はそうはいっても日本中をリードしていかなくてはならない責任があるから仕方ないですけどね。

多屋:東京は、情報が多いので消費されがちで怖いから、どこかで距離を置きたい…という気持ちもありますよね。

大森:最近のスタイリストも、情報をいかに整理できているかを問われると思います。例えばボーダーの服1つでも、誰がどこで作っていて、どんなところで売っていて、またその値段にも理由があってということが大事で、そうしたことを考えた買い物の仕方を教えていくのもスタイリストの仕事だと思っています。ボーダーが流行っているからボーダーを買えばいい、ということだけでもないんですよね。

多屋:確かに、それではその人のアイデアが入っていないですものね。

矢嶋:私が思うにスタイリストは3つに分かれていて、大森さんのような、いわゆるトップスタイリスト。つまり、実際に着るかどうかは別として、こういうものをファッションとして提案したい、という本来のスタイリストは非常に少なくなって来ています。今人気なのは、ポピュリズムなスタイリストで、今日何を着ていくか分からないときに、365日の私のワードロープをアドバイスするような形で出ている人が最近、いっぱいいますね。3つ目に企業系のスタイリストです。これら全部スタイリストと総称で言われるけど、私は全く違う職業だと思っています。

大森:今、職業は細分化されすぎていますから、肩書きを一度全員なくせば良いと思うんですよ(笑)。私は自分を「フリーター」って呼んでいますからね(笑)。

多屋:私も「フリーター」でいいです!(笑)

矢嶋:先日会った人で「瓶詰めコーディネーター」という肩書きの方がいましたよ。

大森:そうすることで食いつきがありますよね。ただの肩書きより「瓶詰め長けています、私」の方がオリジナル感と特別感がぐっと増しますから。

矢嶋:彼女は違うのですが、どうすればウケるかが先行しすぎてしまうきらいもあります。ビジネスもそうで、ウケをねらって迎合しすぎているのが多いと感じています。私たちのやっているブランドは、どうやってウケを狙うということの対局にあります。ドゥーブルメゾンは勿論、Y. & SONSや、THE YARD なども、私たちはこういうアンテナから発信したい、という気持ちが強くあって、ブランドを護っていきたいという気持ちがすごく強い。

多屋:私も、選曲する際に、メジャーな音楽を入れた方がウケは良いかもしれないけど、それをやると、提案がなにも無くなっちゃうんですよね。10代の女の子だったら、これを聴いたらもっといいだろうな、とか、これを聴いている子だったら、こういうものをもっと聴いたらいいかも、という提案があってこそのDJとか、選曲とかがあります。スタイリストさんもきっと同じですよね。

矢嶋:そういう意味では、ドゥーブルメゾンというブランドは、迎合しないで、ずっとやって来ました。先日、多摩美術大学のインタビューがあって、「会長が一番気をつけていることは何ですか?」という質問に、私は「大森さんがやりたいことを、絶対に出来ないと言わず、どんな手段をもってでも実現させることが私の仕事です。」と答えました。個人の想いというのは中々個人では実現できないから、その為にうちの会社を利用してもらえばいい、というのが、これからのクリエイティブと、そのマネジメントする人の新しい関係だと思っています。

大森:ドゥーブルメゾンの始まりは、私が会長にこういうブランドはどうですか、と売り込みに行ったのが最初でしたね。大きな会社と組んでやることでその真ん中に持っていけたら良い、そこで女子のネットワークを活用できれば、もっと影響力が持てるんじゃないかと思いました。女子ひとりでやっていたら、自己満足なお店にしかなりません。女子のネットワークは大好きで、そこでやって行きたいけど、やっぱり男性らしさと共存していくことも必要です。その代わり、男性も女子のことが分かって、女子ファッションビジネスの中でレディーファーストをしてもらいながら仕事をしていくという共存の仕方をするのが良いのではないかと思っています。

矢嶋:大森さんにそのつもりはないだろうけど、実際、ものすごく教育されました。今までの自分の仕事の仕方が、いかに男性的で硬かったか、とつくづく思いました。



DOUBLEMAISON 京都期間限定SHOP


大森:初めて会長に会いに行ったとき、最初の20分くらいがビジネスのお話で、正直ウザいな、長いな~って思いました(笑)。その後会長に「女子のカワイイって(会長のペンをとって)これをすごくカワイイって言えるのが女子ですよ。こんな一つのペンですらカワイイって。それを全部身につけているっていうカタマリが女子ですよ。」という話をしたのを思い出しました。

矢嶋:正直、よく5年間も続いたな、と思います。

大森:むしろこれからです。正直まだスタートラインに立ってないと思っているので。だけど、スタートラインに立っていないブランドを5年間よく我慢してくださっていたなと、とてもありがたく思っています。5年間勉強させてもらっていたわけで。だから、ちゃんとスタートラインに立たなければならないと焦ってばかりでした。

矢嶋:コラボレーションという言葉は、軽く使われることも多いので、私はチームワーキングという言葉を使っていますが、それは五分と五分の関係でお互いに学習しあうのだということで、それがドゥーブルメゾンでの5年間で良くわかりました。

大森:やまとは、すごく縦社会なんだなと思いました。私の知らない世界でした。私はどんな現場でも、どんなにキャリアや年齢が離れた人でも横の繋がりでしかなかったから。私が会長とお会いしたときに最初に言ったのは、会長にも私はタメ口で喋ります、ここは全員横の繋がりでいきます、ということでしたね。また生意気ですみません(笑)。

多屋:何かを支配したいわけではありませんしね。良いものをつくるために、支配をする必要はないですから。

矢嶋:澄礼さんは、今の「男の縦社会」と「女の横社会」についてどう思われますか?

多屋:私も大森さんと同じで、横でしかないので。でも、ずっと私は友達の延長線上というか、知り合いの延長線上で自分の好きなセンスを持った子とつながっているのが好きなので、そういう友達たちと仕事をしてきて自分も成長して、といった感じです。大きな会社と違って時間はかかりますが、最近では本を出す機会も貰えたり、ラジオをやったりなど、少しづつ成長してきているように思っています。こういうことは、普通の女の子がヒョイってやれることではないですし、焦らず徐々に認められていけば、と思って今までずっと仕事をしてきました。

大森:澄礼さんは年上の人との関わりが多いですよね。上の人も逆に若い人を求めています。やっぱり上の人の方が絶対数は多く、若い人はどうしてもその中でモヤモヤしていて、どう一抜けるかが、その子のセンスだなといつも思います。澄礼さんは、その年齢でもう一抜けしていると思うのですが、そこは凄いなと思います。

多屋:でも、私も女の子しか好きじゃないですし、仕事を一緒にしたいな、と思っているのは、いつも女の子ばかりなんです。

大森:私たちの仕事って、ペンタゴングラフがデコボコじゃないとダメなんですよね。個が飛び抜けるためには他が出来ない。出来ないことの力を逆に活かして突き抜けないとダメなんです。普通に会社勤めだったら、ペンタゴングラフが綺麗な方が生きやすいし生活もしやすいけれど、私たちはやっぱり1つ飛び抜けていて、その代わり、ゼロなところがあってもしょうがない。

多屋:振り返ったときに、生きやすいからといって、それが決して良い人生とはかぎりませんからね。


DOUBLEMAISON 京都期間限定SHOP


矢嶋:先程の「女子の横社会」というのは、すごく意味のあることだと思います。50年ほど前に、中根千枝さんの『タテ社会の人間関係』というベストセラーがありました。時代が変わり、男の縦社会に代わる、女子の横社会が生まれているのだな、と思いました。

大森:澄礼さんの周りには、どういう人が多いの?

多屋:やっと仕事が板についてきたかなっていうくらいの人が多いですかね。近しい仕事をしていて、また一緒に仕事しようよ、とか、ストリートスナップのウェブサイトをやっている男の子の友達なんかもいます。でも、同じくらいの世代は少なくて、最近だと、もう少し下の世代が出てきてて、文章を書く女の子で言えば平野紗季子さんとか、モデルやアパレルの仕事だったら、前田エマさんとか。私より3~4歳くらい下の世代ですけど、その子たちに色々影響も受けています。

大森:アムラーやガングロは、澄礼さんの世代より、上だよね。

多屋:うちの姉はガングロでしたよ。エッグモデルやってて(笑)。

大森:澄礼さんの世代は、突飛なことが少し落ち着いた世代なんですね。

多屋:そうです。そういうことは少し疲れてきちゃった世代。ルーズソックスもいましたけど、ハイソックスの子たちが小綺麗に戻った頃ですね。でも、みんなの流行りに合わせるのは、没個性だから楽なんですよね。あの格好が流行っているときに、それをしないという方が、精神的にパンクだと思いますよ。

大森:今もやっている子はどう思う?

多屋:逆に良いと思います。あの格好が好きでやっているんだから「個性」だと思います。流行っている時にやるのは、個性じゃないと思います。

大森:流行が終わった瞬間、急に美白になっちゃった子も多いものね。

多屋:男性の目を意識しすぎて、そういう格好をしているのは、私はオシャレではないと思います。自分のスタイルじゃないですし。

大森:そういう意味では、今を象徴するものって、結構長い間、出てきてないよね。

多屋:無いですね。流行とかも…。流行るとみんな同じになって、消費してダサくなっていくということを繰り返しているような気がします。日本人の良くないところなんですけど、消費しか出来なんじゃないかな、って心配になります。

大森:私も、森ガールが流行った時にすごく吼えてて…。噛み付きすぎたくらい。

多屋:いえ、いいと思います。噛み付いて(笑)

大森:元々静かな世界でひっそりやっていたのに、大人がいじるからマスになって結局すぐ消えちゃうんですよ。

多屋:森ガールって言って流行らせようとするのは変だと思います。アイデアがないから、そういうのを大人が利用するんですよ。

矢嶋:大森さんと出会って1ヵ月ほど経ったときに、ドガの踊り子の絵葉書をもらったのですが、そこに「この踊り子の向こうに黒服の男子が見えます。こういう男性になられませんよう」と書かれていたんです。

大森:パトロンです。パトロンが踊り子を見定めるんですけど、こういう人、女子を利用する男性にはなってほしくないって意味でした。買っていただく方は圧倒的に女子なのでその方たちを裏切らないという気持ちですよ。

多屋:ドゥーブルメゾンの良さは、ただ服を見せるだけじゃなくて、そこに女の子のストーリーがあるから良いんですよね。

大森:人生を背負っていきたい、っていうのが理想です。ストーリーの中で、お部屋にいる女の子達には、学生の子もいれば、働いている子もいます。女子が一生の中で全部通っていく服を作りたい。その中には、着物も洋服もあって、カワイイ服もあれば、フォーマルな日のドレスも、ウェディングもブラックドレスもあるクローゼットを作りたい、というのが理想です。

矢嶋:雑誌『GINZA』でオリーブの特集がありましたが、そこに大森さんが「17歳の私へ」という題で写真と文章を載せていまして、それを見てとても感動しました。

大森:文章は、私ではなくずっとオリーブにいた方です。写真に対してこれくらいの文章を入れたいって話しながら書いてもらった文章と写真を適当に切って並べていったら、偶然ストーリーになっちゃったんです。女子の人生って計画だけではいかなく、こうやってなんとなくでも形になったり、ホント女の子の人生は偶然なんだなって!その偶然にも凄くあがったんですよ!

矢嶋:あれは100%大森さんが作った文章だと思っていました。それくらい、写真と文章がピッタリ合っていました。では、このあたりで…。ありがとうございました。



DOUBLE MAISON
京都期間限定SHOP


期間:2016年6月3日〜7月31日(日)
京都市下京区河原町通り四条下ル市之町251-2
寿ビルディング3階
TEL:080-7760-8833
OPEN:12:00〜20:00 
定休日:水曜日・木曜日
【アクセス】 阪急線河原町駅下車 2番出口より徒歩5分




DOUBLEMAISON 京都期間限定SHOPにて矢嶋孝敏、大森伃佑子、多屋澄礼さん